妖しい電脳文芸日記 2


 すっかりさぼっていました。今回は文芸作品のネット配信についての考察を。
 
 e-Novelsというサイトで、推理小説系を中心にした小説作品のデジタル配信が始まりましたね。井上夢人、綾辻行人といった、売れっ子作家がズラリ。
 普通に出版できる人たちばかりなのに、WEBにこれほど力を入れるというその心意気に感心してしまいました。
 僕はこんなこと(電脳三昧)をしていますが、本音では「文芸作品は紙で読みたい」派です。でも、今の出版業界を見ていると、閉塞感ばかり感じてしまいます。出版されないまま消えていく傑作は数知れず。プレステ2の前には出版文化の灯も危うし。
 文芸作品の理想的な配信形態というのは、多品種少量生産ではないかと思います。ただでさえ出版物は多すぎて、書店に並びきらないわけで、売れる売れないは「情報」に左右されてしまいます。
 「今、これが売れている」という情報が流れれば、ついつい買ってしまう。売れ出すと、書店にも目立つように並ぶから、ますます売れていく。でも、買ってはみたけれど、面白くなくて、最後まで読めなかったなどという本もたくさんあるはずです。
 売れた本は必ずしも面白い本ではないだろうし、逆に、売れなかった本にも面白い本はたくさんあります。これは、売れていない僕が言うと、ひがみにしか聞こえないと思いますが、本当にそうなんですよ。
 これじゃあ、まずい。なんとかしなくちゃ。作家も編集者も、本好きな人たちも、思いは同じはず。
 文芸は紙で読みたいけれど、これからはそうとばかり言っていられないでしょう。

 WEBでの配信には、2つの美点があります。
 
  1.  ゴミが出ない。
  2.  ただで試し読みができる。

 これは印刷された本には真似ができない芸当です。
 読者は、膨大なデジタル作品ファイルの中から、これは……と思うものをダウンロードし、時間に縛られずにゆっくり試し読みができます。駄目な作品は、半分も読まないうちに駄目だなと分かるでしょうし、好みが合うか合わないかというのも判断できます。
 残りを読みたいと思った時点で、初めて金を払う。──これなら「損した」と悔しがることもありません。
 どんなに読みまくっても、部屋が古本で埋まることもありません。森林資源の喪失にもなりません。
 
 というわけで、我が「電脳文芸館」も、いよいよ作品のデジタル配信を開始します。作家の輪を広げていくために、「文芸ネット」(bungei.net)というドメインも取得しました。ゆっくりとですが、「作家直販」の実験に挑んでみようと思っています。  

 (鐸木能光・記)
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 今日の放哉

 

 尾崎放哉


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